最終更新日:2026年8月16日

私たちが全国の現場で学んだこと

バイオマス発電所の計画を知ったとき、

「何をすればいいのか分からない」

「行政に相談すれば何とかしてくれるのではないか」

「法律に問題があれば止まるのではないか」

と考える方は多いと思います。

しかし、私たちが舞鶴・福知山をはじめ、全国各地のバイオマス発電問題に関わってきて強く感じるのは、

初動で結果が大きく変わる

ということです。

そして、もう一つ重要なのが、

反対運動の主役は地元住民である

ということです。

行政でもありません。

議員でもありません。

環境団体でもありません。

専門家でもありません。

地域を守るために最後まで動けるのは、そこで暮らしている住民です。

外部の専門家や経験者は、その住民を支援する存在だと私たちは考えています。


まず私たちに相談してください

近くでバイオマス発電所の計画が持ち上がったら、

とにかく早く相談してください。

「まだ計画の詳細が分からない」

「正式発表されていない」

「住民も数人しか知らない」

そんな段階でも構いません。

むしろ、その段階だからこそできることがあります。

私たちはこれまで、舞鶴での住民運動の経験を生かし、ウータン・森と生活を考える会、FoE Japanなどと連携しながら、全国各地のバイオマス発電問題に関わってきました。

それぞれ、

住民運動。

森林・燃料問題。

金融機関への働きかけ。

環境問題。

企業への働きかけ。

など、異なる経験と専門性があります。

必要に応じて、

個別相談

オンライン勉強会

現地での勉強会

講演会

なども行います。

遠方であっても、オンラインであれば比較的早く対応できます。

ゼロから反対運動を考える必要はありません。

すでに全国各地で積み上げられた経験を使ってください。


成功の秘訣1 初動が一番大切

計画を知ったら、まず動いてください。

「もう少し様子を見よう」

「正式な説明会があるまで待とう」

「市役所が調べてくれるだろう」

と待っている間にも事業は進みます。

土地取得。

設計。

許認可。

融資。

出資。

設備発注。

工事契約。

こうした手続きが進めば進むほど、事業者は撤退しにくくなります。

逆に、計画初期であれば、

地域住民の反対。

住民説明の長期化。

追加調査。

計画変更。

金融面の懸念。

などを見て、事業者が早い段階で計画を見直す可能性があります。

美作や明智町では、住民が非常に早く動きました。

結果として、発電所が建設される前に計画が終わっています。

初動が早ければ、問題が大きくなる前に終わらせられる可能性があります。


成功の秘訣2 他人事にせず、自分たちで動く

これは最も重要です。

「議員にお願いした」

「市役所に伝えた」

「環境団体へ連絡した」

そこで終わってはいけません。

行政や議員には大きな力があります。

しかし同時に、

企業との関係。

雇用。

地域経済。

地権者。

既存政策。

政党。

選挙。

など、さまざまなしがらみがあります。

そのため、住民とまったく同じ立場、同じ速度で動けるとは限りません。

だから、

住民自身が動く

地域の問題にする

行政・議員にも働きかける

専門家やNGOの力を借りる

という順番が重要です。

あなた一人の地域ではありません。

みんなの地域です。

その地域に暮らす人たち自身が、自分たちの問題として動くことが必要です。


成功の秘訣3 反対運動の主役は地元住民

外部の環境団体だけが反対すれば、

「地域外の人が反対している」

と言われる可能性があります。

しかし、

発電所の近くで生活する住民。

そこで商売をする人。

農業をする人。

子育てをする人。

その地域の水や道路を使って生活する人。

そうした地元住民自身が、

「この計画には納得できない」

と声を上げれば意味は大きく変わります。

外部の専門家や環境団体は、

資料を分析する。

他地域の事例を紹介する。

金融機関を調べる。

環境問題を検証する。

などの支援ができます。

しかし、

主役はあくまで地元住民です。


成功の秘訣4 まず「地域の問題」にする

知られていない計画は静かに進みます。

だから、

近所へ知らせる。

自治会で話題にする。

署名を集める。

ノボリを立てる。

SNSで発信する。

ホームページを作る。

地元新聞やテレビへ情報提供する。

説明会を求める。

質問状を出す。

こうした活動によって、

「一部の住民が気にしている問題」

から、

「地域全体で議論されている問題」

へ変えていく必要があります。

地域で問題になっていること自体が、事業者にとって重要な事業リスクになります。


成功の秘訣5 署名は「数」だけではない

署名は非常に重要です。

もちろん、全国から何万筆集まることにも意味があります。

しかし、もっと重要なのは、

地元住民がどれだけ反対しているのか

です。

例えば、

地域200世帯のうち150世帯。

建設予定地周辺30世帯のうち28世帯。

が反対しているのであれば、

地域の合意形成ができていない

ことが明確になります。

署名は単純な数字だけではなく、

地元の意思を見える形にする道具

として使ってください。


成功の秘訣6 ノボリは非常に効果がある

私たちが実際の活動でおすすめしているものの一つが、

ノボリ旗

です。

例えば、

「〇〇バイオマス発電所建設反対」

などのノボリを、賛同する住民が自宅前や店舗前など、設置できる場所へ掲げます。

1本だけではありません。

地域のあちこちに同じノボリが立つことで、

「この地域では多くの住民が問題意識を持っている」

ことが一目で分かります。

住民側にも、

「自分一人ではない」

という安心感が生まれます。

地域の一体感も高まります。

そして事業者、行政、金融機関、メディアなどが現地を訪れた際にも、

地域の反対意思を視覚的に伝えることができます。

署名簿は読まなければ分かりません。

しかしノボリは、現地へ来れば誰でも分かります。

費用に対して非常に大きな効果が期待できます。


成功の秘訣7 「反対」だけで終わらず、質問する

単に、

「発電所はいらない」

と言うだけではなく、

具体的な質問をしてください。

燃料はどこから集めるのか。

年間何トン必要なのか。

20年間、本当に調達できるのか。

大型トラックは1日何台走るのか。

水はどれだけ使うのか。

騒音はどの程度なのか。

火災が起きた場合の対応はどうするのか。

灰はどこへ処分するのか。

地域への経済効果はいくらなのか。

排熱利用設備はいくらかかるのか。

誰が設備費を負担するのか。

こうした質問を積み重ねることで、

事業者が説明するメリットが本当に成立するのか

を検証できます。


成功の秘訣8 懸念事項は公式に説明を求める

分からないことや疑問点がある場合、

憶測だけで判断する必要はありません。

大切なのは、

事業者や行政へ公式な説明を求めること

です。

質問状を提出する。

メールで回答を求める。

説明会で質問する。

行政へ問い合わせる。

そして、

できるだけ記録に残る形で回答を求めてください。

口頭だけではなく、

書面。

メール。

説明会資料。

議事録。

などで残しておくことが重要です。

後になって認識が食い違った場合でも、記録があれば検証できます。


成功の秘訣9 「環境に良い」という説明を具体的に検証する

バイオマス発電事業では、

再生可能エネルギー。

未利用材。

森林整備。

地域雇用。

排熱利用。

農業。

養殖。

地域循環。

など、非常に魅力的な言葉が使われます。

明智町では排熱を利用したエビ養殖。

田川では排熱を利用した農業。

という構想がありました。

こうした考え方そのものを否定する必要はありません。

しかし、

理念が良いことと、事業として成立することは別です。

燃料はいくらで集めるのか。

設備費はいくらなのか。

誰が負担するのか。

運転停止時はどうするのか。

排熱利用事業そのものは採算が取れるのか。

まで具体的に確認してください。


成功の秘訣10 強い反発を恐れない

反対運動を始めると、必ずしも歓迎されるわけではありません。

事業者側から、

「事実と違う」

「信用を傷つけている」

などと強く反論されることがあります。

地域内の推進する立場の人から、

「地域の発展を邪魔している」

「何でも反対する人たちだ」

と批判されることもあります。

場合によっては、事業者側の弁護士から、

名誉毀損などを指摘する内容証明郵便や警告書

が届くこともあります。

しかし、それだけで正当な住民活動をやめる必要はありません。

大切なのは、

事実を確認する。

根拠資料を残す。

事実と意見を分ける。

懸念事項は事業者や行政へ公式な説明を求める。

という基本です。

そのうえで、

質問すること。

批判すること。

問題点を公表すること。

地域住民へ知らせること。

まで恐れる必要はありません。

地域を守ろうとすれば、強い反発を受けることもあります。

強く活動することと、法律を破ることはまったく別です。

法律を守り、根拠を持って、必要なことは必要だとはっきり伝える。

その姿勢が重要です。


成功の秘訣11 法律だけを当てにしない

ここは非常に重要です。

法律を守らなくてもよいという意味ではありません。

住民側も法律は守る必要があります。

しかし、

「問題のある事業なら法律が止めてくれるだろう」

と考えるのは危険です。

事業者側は通常、事業計画を立てる段階から、

許認可。

条例。

環境規制。

契約。

訴訟リスク。

などについて専門家や弁護士を交えて検討しています。

つまり、

一定の法的リスクを計算したうえで事業を進めています。

一方、住民側が裁判を行う場合、

弁護士費用。

調査費用。

証拠収集。

長い時間。

精神的負担。

などが必要です。

裁判が何年も続くこともあります。

その間に工事が進む可能性もあります。

だから私たちは、

最初から「最後は裁判で止めればよい」と考えない方がいい

と考えています。

裁判になる前に、

地域で問題を可視化する。

事業者へ質問する。

行政へ働きかける。

出資企業へ知らせる。

金融機関へ知らせる。

メディアへ知らせる。

必要なら株主総会で質問する。

こうした活動によって、

事業そのものの実現性を下げること

が重要です。


成功の秘訣12 事業者だけを見ない

大型発電事業には、多くの企業や組織が関係します。

事業会社。

親会社。

出資企業。

銀行。

投資家。

建設会社。

設備会社。

燃料会社。

行政。

だから、

事業会社だけに反対して終わらないこと

が重要です。

誰が出資しているのか。

誰が融資しているのか。

誰が設備を供給するのか。

誰が燃料を供給するのか。

を調べてください。

事業を支えている構造全体を見る必要があります。


成功の秘訣13 金融機関へ働きかける

発電所を建設するには多額の資金が必要です。

そのため、

資金の流れを見ること

が非常に重要です。

問題のある事業に対して、金融機関や投資家へ、

投融資の見直し

を求める方法があります。

いわゆる、

ダイベストメント

です。

金融機関にとって、

住民との対立。

環境問題。

事業遅延。

燃料調達。

建設費上昇。

採算悪化。

などは投資リスクです。

住民から見れば、

生活環境の問題

でも、

金融機関から見れば、

「この事業へ資金を出して大丈夫なのか」

という問題になります。

この視点は非常に重要です。


成功の秘訣14 上場企業が関係しているなら株主になる

事業に関係する会社が上場企業なら、

株主になる

という方法もあります。

舞鶴では日立造船。

渋川では中部電力。

という形で実際に株主総会へ参加しました。

住民自身が株式を購入し、

株主として経営陣へ直接質問する

ことができます。

株主総会では、

地域住民との対立。

事業採算。

環境問題。

ESG。

企業イメージ。

などを、

地域問題から企業経営の問題へ

変えることができます。


成功の秘訣15 ホームページを作る

SNSは非常に強力です。

X。

Facebook。

Instagram。

YouTube。

などを使えば、情報を短期間で拡散できます。

しかしSNSには弱点があります。

情報が流れていくこと

です。

数年前の活動記録を探そうとしても簡単には見つかりません。

そこで必ず作ってほしいのが、

ブログやホームページ

です。

事業計画。

説明会。

質問状。

事業者の回答。

行政資料。

住民活動。

署名。

報道。

時系列。

などを整理して残してください。

そうすれば、

「〇〇市 バイオマス発電」

「〇〇会社 バイオマス」

などで検索したときに、

事業者側だけではなく、住民側が確認した情報も検索結果に出る

ようになります。

これは非常に重要です。

金融機関。

投資家。

取引先。

行政。

メディア。

地域住民。

誰でも検索できます。

ホームページは、

活動の記録

であると同時に、

地域で問題が起きていることを継続的に社会へ伝える基盤

になります。

SNSは、

拡散する場所。

ホームページは、

蓄積する場所。

両方を使ってください。


成功の秘訣16 活動資金は地域のみんなで支える

反対運動には意外とお金がかかります。

チラシ。

印刷。

郵送料。

会場費。

交通費。

ノボリ。

ホームページ。

サーバー代。

資料購入。

専門家への相談。

遠方への移動。

一つ一つは小さくても、長期化すると大きな負担になります。

これを、

活動リーダー一人が自腹で負担してはいけません。

地域のみなさんへ、

活動を続けるための寄付

をお願いしてください。

仕事や家庭の事情で活動には参加できない。

しかし地域を守りたい。

その代わりに活動費を出したい。

そう考える人はたくさんいます。

あなた一人の地元ではなく、みんなの地元です。

その気持ちを遠慮せず受け取ってください。

もちろん、

集まった金額。

使い道。

残金。

などの会計は分かるようにしておくことが重要です。


成功の秘訣17 記録を残す

活動中に出てきた資料は、できるだけ保存してください。

説明会資料。

録音。

質問状。

回答書。

メール。

行政資料。

情報公開請求。

新聞記事。

チラシ。

写真。

動画。

そして時系列。

後になって、

「そんな説明はしていない」

「住民の理解を得ていた」

など、認識が食い違うことがあります。

記録があれば検証できます。

さらに、その記録は次に同じ問題に直面する地域の資料にもなります。


成功の秘訣18 「簡単には進められない地域」と認識してもらう

違法な妨害をする必要はありません。

住民として正当に、

質問する。

説明を求める。

署名する。

ノボリを掲げる。

行政へ問い合わせる。

資料を調べる。

ホームページで発信する。

メディアへ情報提供する。

金融機関へ知らせる。

株主総会で質問する。

こうした活動を積み重ねます。

事業者にとっては、

住民説明。

追加調査。

計画修正。

行政対応。

金融機関対応。

スケジュール変更。

などが必要になります。

つまり、

その地域で事業を進めるために必要な時間とコストが増えます。

企業は最終的に、

「それでもこの場所で事業を進めるべきなのか」

を判断します。

計画の早い段階で、

「この地域では簡単には事業を進められない」

と認識してもらうことは非常に重要です。


成功した反対運動ほど記録に残りにくい

発電所が建設され、

事故。

公害。

裁判。

倒産。

などが起きればニュースになります。

しかし、

計画段階で住民が動き、発電所が建たないまま終わった案件

は、その後ほとんど報道されません。

明智町。

美作。

渋川。

こうしたケースでは、

初動が早い

早く問題が終わる

大きな社会問題にならない

報道が少ない

成功事例が知られない

ということが起こります。

住民側も、

「やっと終わった。もう忘れたい」

と思います。

事業者側も、進まなかった計画を積極的に公表する理由はありません。

だからこそ私たちは、

成功した事例を記録として残すこと

も重要だと考えています。


私たちが経験した7地域

舞鶴パーム油火力発電問題

約66MWのパーム油発電所計画。

署名、行政への働きかけ、環境NGOとの連携、金融面への働きかけ、株主総会などを行い、

計画撤退。


福知山パーム油発電問題

実際に稼働したパーム油発電所で騒音・悪臭問題が発生。

住民活動、公害調停、金融機関への働きかけなどが行われ、

発電事業廃止・発電施設撤去・廃炉。


石巻バイオマス発電問題

約102.75MWの大規模液体バイオマス発電計画。

住民反対、燃料変更、経済産業省の改善命令などが続き、

現在も着工の目処立たず。


田川バイオマス発電問題

国産未利用材や排熱利用型農業を掲げた木質バイオマス発電計画。

施設は建設されたものの、

営業運転開始を確認できず、現在も膠着状態。


明智町バイオマス発電問題

排熱を利用したエビ養殖を組み合わせた木質バイオマス発電計画。

住民が早期に動き、勉強会などを実施。

計画中止。


美作バイオマス発電問題

約10MW級の木質バイオマス発電計画。

住民が早期に質問状、署名、情報発信などを実施。

計画用地取得に至らず、建設計画断念。


渋川・水沢バイオマス発電問題

水沢うどんの観光地に木質バイオマス発電所を計画。

住民活動、金融機関へのダイベストメント要請、住民自身による中部電力株主総会での質問などを行い、

大手出資企業が撤退し、計画は頓挫。


結論――「初動」「住民主体」「相談」が重要

私たちが全国各地の経験から伝えたいことは、難しいことではありません。

初動が大切。

地元住民が主体になる。

事業者だけを見るのではなく、資金や関係企業まで調べる。

そして何より、

一人で悩まず、早く相談する。

ということです。

行政任せにしない。

議員任せにしない。

環境団体任せにしない。

しかし、使える経験や専門知識は徹底的に使う。

地域住民自身が主役となり、

私たちや専門家が支援する。

この形が理想だと考えています。


バイオマス発電計画を知ったら、すぐにご相談ください

最後にもう一度お伝えします。

とにかく私たちに相談してください。

まだ事業者の正式発表がなくても構いません。

まだ住民組織ができていなくても構いません。

数人しか集まっていなくても構いません。

むしろ、

その段階が重要です。

私たちは、

舞鶴での活動経験。

ウータン・森と生活を考える会。

FoE Japan。

など、これまで全国で積み上げられてきた経験を活用しながら、地域ごとに一緒に考えます。

必要に応じて、

個別アドバイス

オンライン勉強会

現地勉強会

講演会

などにも対応します。

オンラインであれば、遠方でも比較的早く対応できます。

困っている地域が、ゼロから反対運動を始める必要はありません。

先に経験した地域の知識を使ってください。

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