最終更新日:2026年8月16日
バイオマス発電について、よくいただく質問にお答えします
「近所にバイオマス発電所ができるらしい」
「再生可能エネルギーなのに、なぜ反対する人がいるの?」
「木を燃やすだけなら問題ないのでは?」
「住民説明会では何を聞けばいい?」
「計画を止めることはできる?」
私たちは、舞鶴・福知山をはじめ全国各地のバイオマス発電問題に関わってきました。
その中で、住民の方から繰り返し聞かれる質問があります。
このページでは、バイオマス発電の基本から、発電所計画を知ったときの対応まで、できるだけ分かりやすく説明します。
Q1.そもそもバイオマス発電とは何ですか?
バイオマス発電とは、
木材。
木質チップ。
木質ペレット。
PKS(パーム椰子殻)。
パーム油。
廃棄物由来燃料。
など、生物由来の資源を燃料として発電する仕組みです。
一般的には、燃料を燃やして蒸気などを作り、タービンを回して発電します。
「再生可能エネルギー」として扱われるものもありますが、
燃料の種類、調達方法、輸送距離、発電効率、森林への影響などによって評価は大きく変わります。
Q2.バイオマス発電は環境に良いのですか?
一概には言えません。
バイオマス発電には、
未利用資源を活用できる。
化石燃料への依存を減らせる。
森林整備につながる可能性がある。
廃棄物を有効利用できる。
といったメリットがあります。
一方で、
燃料を燃焼するとCO₂が発生する。
燃料輸送にもエネルギーが必要。
森林伐採につながる可能性。
燃料の持続可能性。
大気汚染。
騒音。
交通量増加。
などの問題もあります。
したがって、
「バイオマス=環境に良い」
と単純に判断するのではなく、事業ごとに確認する必要があります。
Q3.木を燃やしてもCO₂は増えないのですか?
「木が成長するときにCO₂を吸収するため、燃やしても相殺される」という説明を聞くことがあります。
しかし実際には、
木を伐採する。
加工する。
乾燥させる。
チップやペレットにする。
運搬する。
燃焼する。
という過程があります。
また、伐採した森林が再び成長して炭素を吸収するまでには時間が必要です。
そのため、
燃やした瞬間にCO₂がゼロになるわけではありません。
Q4.国産木材なら問題ないのですか?
国産だから自動的に問題がないわけではありません。
重要なのは、
本当に長期間、安定して燃料を確保できるのか
です。
確認すべきなのは、
年間何トン必要なのか。
どの地域から集めるのか。
何年間供給するのか。
現在すでに誰がその木材を使っているのか。
運搬距離はどの程度なのか。
木材価格が上がった場合どうするのか。
などです。
特に、
「未利用材だから大量に余っている」
とは限りません。
山から木を出すには、伐採だけでなく集材・搬出・運搬にも費用がかかります。
Q5.木質ペレットなら安全ですか?
木質ペレットも木材由来の燃料ですが、確認すべき点があります。
国内産なのか。
輸入なのか。
原料となる森林はどこなのか。
持続可能な森林管理が行われているのか。
製造時にどれだけエネルギーを使うのか。
船舶でどれだけの距離を輸送するのか。
などです。
燃料の形だけで判断するのではなく、
原料から発電所までの全体を見ること
が重要です。
Q6.バイオマス発電所から煙や臭いは出ますか?
設備や燃料によって異なります。
燃焼設備では、
ばいじん。
窒素酸化物。
硫黄酸化物。
臭気。
などについて確認する必要があります。
また発電所そのものだけでなく、
木質チップの保管。
燃料搬入。
灰の保管。
排水。
なども生活環境に影響する可能性があります。
事業者へ、
どのような排ガス処理設備を使うのか
排出基準値だけでなく実際の予測値はいくらなのか
を確認することをおすすめします。
Q7.騒音は問題になりますか?
可能性があります。
バイオマス発電所には、
ボイラー。
タービン。
発電機。
送風機。
ポンプ。
燃料搬送設備。
冷却設備。
などがあります。
さらに燃料を運ぶ大型トラックの音もあります。
重要なのは、
発電所は夜間も稼働する場合がある
ことです。
昼間だけではなく、
夜間の騒音予測値
も確認してください。
Q8.大型トラックはどれくらい増えますか?
発電所の規模と燃料によって大きく違います。
事業者に、
年間燃料使用量。
トラック1台あたりの積載量。
1日あたりの搬入台数。
搬入時間帯。
搬入ルート。
を質問してください。
例えば年間何万トンもの燃料を使う場合、かなりのトラック交通が必要になることがあります。
特に、
通学路。
住宅地。
観光地。
狭い道路。
では重要な問題です。
Q9.バイオマス発電所で火災は起こりますか?
木質チップや木質ペレットなどは燃料です。
大量に保管する場合、
自然発熱。
粉じん。
設備トラブル。
などを含め、火災対策を確認する必要があります。
事業者へ、
燃料保管量。
保管方法。
消火設備。
消防との協議。
火災発生時の対応。
周辺住宅への影響。
などを確認してください。
Q10.「排熱を農業や養殖に利用する」と言われました。良い計画では?
排熱利用という考え方そのものは合理的です。
しかし、
排熱がある=無料で農業や養殖ができる
わけではありません。
熱交換設備。
配管。
ポンプ。
温度管理設備。
施設建設。
維持管理。
バックアップ熱源。
などが必要になります。
さらに、
農業や養殖事業そのものが採算に合う必要があります。
明智町ではエビ養殖、田川では農業への排熱利用が計画されました。
大切なのは、
「良さそうな理念」ではなく、誰が費用を負担し、本当に事業として成立するのか
を確認することです。
Q11.地域に雇用が生まれると言われました。本当ですか?
雇用が生まれる可能性はあります。
しかし、
何人雇用されるのか。
正社員なのか。
地域住民を雇うのか。
建設時だけなのか。
運転期間中も継続するのか。
を確認してください。
「地域雇用を創出します」という言葉だけではなく、
具体的な人数と雇用形態
を質問することが重要です。
Q12.税収が増えるなら地域にメリットがあるのでは?
固定資産税などにより自治体の税収が増える可能性はあります。
しかし、
税収。
地域雇用。
道路への影響。
環境対策。
消防対応。
生活環境。
観光。
農業。
水資源。
などを総合的に考える必要があります。
税収が入るという理由だけで、地域にとって利益のある事業とは限りません。
Q13.FITとは何ですか?
FITは、
固定価格買取制度
です。
再生可能エネルギーで発電した電気を、一定期間、決められた価格で電力会社などが買い取る仕組みです。
バイオマス発電所が全国で増えた大きな理由の一つでもあります。
事業を見る際には、
FIT認定を受けているのか。
どの燃料で認定されたのか。
認定出力はいくらなのか。
運転開始期限はどうなっているのか。
なども重要です。
Q14.計画を知ったら、まず何をすればいいですか?
最初にしてほしいのは、
情報を集めることと、できるだけ早く相談すること
です。
事業者名。
予定地。
発電規模。
燃料。
説明資料。
土地所有者。
行政へ提出された資料。
など、分かる範囲で構いません。
そして、
まだ計画が固まっていない段階で相談してください。
初動が非常に重要です。
Q15.行政に相談すれば止めてもらえますか?
行政には重要な役割があります。
しかし、
行政に相談したからあとは任せればよい
とは考えない方がいいです。
行政には、
法律。
条例。
許認可。
地域経済。
企業誘致。
雇用。
既存政策。
など、多くの事情があります。
住民の立場と完全に一致するとは限りません。
まず地元住民自身が動き、そのうえで行政の力を活用することをおすすめします。
Q16.市議会議員や国会議員に頼めばいいですか?
議員の力も重要です。
議会質問。
行政への働きかけ。
資料調査。
国への要望。
など、住民だけではできないことがあります。
しかし、
議員任せにはしない
ことです。
反対運動の主役は地元住民です。
住民が動いたうえで、議員の力を使う方が効果的です。
Q17.署名は意味がありますか?
あります。
ただし、数だけを見る必要はありません。
全国で1万筆集まることも重要ですが、
建設予定地周辺の住民の何割が反対しているか
も非常に重要です。
地域100世帯のうち80世帯が反対していれば、
事業者が、
「地域の理解を得ています」
と言うことは難しくなります。
署名は、
地域の意思を数字で示す手段
です。
Q18.ノボリ旗は本当に効果がありますか?
私たちは非常に効果的だと考えています。
地域の住宅や店舗に、
「〇〇発電所建設反対」
などの同じノボリが多数並べば、
地域で反対運動が起きていることが一目で分かります。
事業者。
行政。
金融機関。
メディア。
地域を訪れた人。
誰にでも伝わります。
また、
「反対しているのは自分だけではない」
という住民側の一体感にもつながります。
Q19.SNSだけで活動できますか?
SNSは非常に有効です。
しかしSNSだけでは不十分だと考えています。
SNSは拡散力がありますが、過去の投稿が流れてしまいます。
そこで、
ホームページやブログを作ること
をおすすめしています。
ホームページには、
事業計画。
質問状。
回答。
説明会資料。
行政資料。
署名。
活動記録。
報道。
などを整理して残します。
SNSは、
拡散する場所。
ホームページは、
記録を蓄積する場所。
です。
Q20.ホームページを作ることに意味がありますか?
非常に大きな意味があります。
例えば、
「〇〇市 バイオマス発電」
「〇〇会社 バイオマス発電」
と検索したとき、
事業者側の情報だけでなく、
住民側が確認した事実や懸念事項も検索できる状態
を作ることができます。
金融機関。
投資家。
メディア。
行政。
地域住民。
誰でも確認できます。
活動を長期間可視化するためにも、ホームページは重要です。
Q21.事業者から弁護士名で警告書や内容証明が届いたら?
まず内容を冷静に確認してください。
反対運動をしていると、
名誉毀損。
信用毀損。
営業妨害。
などを指摘する警告書が届く場合があります。
警告書が届いたからといって、すぐにすべての活動を中止しなければならないとは限りません。
大切なのは、
事実を確認する。
根拠資料を残す。
事実と意見を区別する。
懸念事項は公式に説明を求める。
ことです。
判断が難しい場合は、専門家へ相談してください。
Q22.裁判をすれば発電所を止められますか?
裁判という方法はあります。
しかし、
最初から裁判だけを当てにすることはおすすめしていません。
裁判には、
時間。
弁護士費用。
調査費用。
証拠収集。
精神的負担。
などが必要です。
事業者側は通常、事業計画の段階から一定の法的リスクを想定しています。
そのため、
裁判になる前から、
住民活動。
質問。
行政への働きかけ。
メディア。
金融機関。
出資企業。
など、複数の方法を使うことが重要です。
Q23.金融機関へ働きかける意味がありますか?
あります。
大型発電所には多額の資金が必要です。
事業会社だけではなく、
銀行。
投資家。
出資企業。
などが事業を支えています。
金融機関にとって、
住民との対立。
環境問題。
燃料調達。
建設遅延。
採算悪化。
などは、
投資や融資のリスク
になります。
そのため、金融機関へ事業の問題点を知らせるという方法があります。
Q24.ダイベストメントとは何ですか?
簡単に言えば、
問題のある事業や企業への投資・融資を見直してもらうよう働きかけること
です。
事業者だけではなく、
その事業へお金を出している金融機関や投資家へ、
「この事業についてもう一度検討してください」
と求めます。
舞鶴・福知山・渋川などでも、金融面への働きかけが行われました。
Q25.住民が企業の株を買う意味はありますか?
事業に関与する企業が上場企業の場合、
株主になる
という方法があります。
株主になれば、条件を満たす範囲で株主総会へ参加できます。
そして、
事業採算。
住民との対立。
環境問題。
ESG。
経営リスク。
などについて質問できます。
舞鶴では日立造船、渋川では中部電力の株主総会で、この方法が使われました。
Q26.反対運動にはお金がかかりますか?
かかります。
チラシ。
印刷。
郵送。
ノボリ。
会場費。
交通費。
ホームページ。
サーバー代。
資料代。
など、小さな費用が積み重なります。
活動リーダー一人が負担するのではなく、
地域のみんなで活動費を支える
ことをおすすめします。
寄付を募る方法もあります。
その場合は、収入と支出を記録し、会計を分かりやすくしておくことが大切です。
Q27.活動記録は残した方がいいですか?
必ず残してください。
説明会資料。
質問状。
回答書。
メール。
行政文書。
録音。
写真。
動画。
新聞記事。
時系列。
などです。
後になって、
「そんな説明はしていない」
「住民の理解を得ていた」
など、認識が食い違う場合があります。
記録があれば検証できます。
そして、その記録は次に同じ問題に直面する地域の役にも立ちます。
Q28.計画を止めることは本当にできますか?
必ず止められるとは言えません。
しかし、実際に計画が撤退・中止・断念・頓挫したケースがあります。
舞鶴。
福知山。
明智町。
美作。
渋川・水沢。
など、それぞれ状況は違います。
共通して言えるのは、
住民自身が動いたこと
です。
そして、
早く動いた地域ほど選択肢が多い
ということです。
Q29.まだ住民が数人しかいません。それでも相談できますか?
もちろんです。
むしろ、
数人しか知らない段階だからこそ相談してください。
最初から大きな組織がある必要はありません。
数人で情報を集め、
少しずつ地域へ知らせ、
仲間を増やしていけばいいのです。
Q30.正式な計画が出ていなくても相談できますか?
できます。
「近くに発電所ができるらしい」
という段階でも構いません。
事業者名。
予定地。
土地の情報。
説明会の案内。
新聞記事。
など、分かる範囲から確認できます。
計画が固まる前だからこそ、できることがあります。
Q31.相談すると何をしてもらえますか?
状況に応じて、
個別アドバイス
事業計画の確認
質問事項の整理
住民活動についてのアドバイス
オンライン勉強会
現地での勉強会
講演会
などを一緒に考えます。
必要に応じて、これまで連携してきた環境NGOなどの知識や経験も活用します。
Q32.遠方ですが相談できますか?
できます。
私たちは全国各地から相談を受けてきました。
オンラインであれば、現地へ行くより早くお話しできる場合があります。
まずオンラインで状況を確認し、その後必要に応じて現地での勉強会や講演会を考える方法もあります。
Q33.いつ相談するのが一番いいですか?
答えは簡単です。
できるだけ早くです。
計画が進んでからより、
計画初期の方が、
調査。
質問。
住民周知。
署名。
行政への働きかけ。
金融機関への働きかけ。
など、多くの選択肢があります。
最後に――分からないことがあれば、まず相談してください
バイオマス発電問題には、
「この方法をすれば必ず解決する」
という一つの答えはありません。
地域。
燃料。
事業者。
発電規模。
立地。
金融機関。
行政。
などによって状況は違います。
だからこそ、
個別に考えることが重要です。
まだ詳しい計画が分からなくても構いません。
まだ住民組織がなくても構いません。
まだ数人しか問題を知らなくても構いません。
とにかく早く相談してください。